アメリカの野球リーグの開幕戦がなぜ日本や韓国で行われるの？と不思議に思ったことはありませんか？
メジャーリーグの試合が海外で開催される理由には、実はさまざまな背景や狙いがあるのです。
この記事では、メジャーリーグが国際展開する理由や歴史、そしてこれからの展望について、わかりやすく解説します。
メジャーリーグはなぜ日本や韓国で開幕戦を開くのか
メジャーリーグ（MLB）が日本や韓国で開幕戦を行うのには、いくつか大切な理由があります。
アメリカの野球リーグがわざわざ遠い国まで来て試合をするのは、単に試合を開くだけが目的ではありません。
実は、メジャーリーグはアメリカ国内だけでなく、世界中に野球の魅力を伝えたいと考えているのです。
特に野球が人気のある日本や韓国は、メジャーリーグにとって大切な市場なのです。
世界中にファンを増やしたい理由
メジャーリーグはアメリカ国内では、アメリカンフットボールやバスケットボールに比べると人気が少し低めです。
そのため、海外に目を向けて新しいファンを見つけようとしています。
メジャーリーグは1996年にメキシコで初めての海外試合を開いて以来、少しずつ国際的な試合を増やしてきました。
現在では、野球の人気が高いアジアでの試合に特に力を入れています。
日本や韓国には野球をとても愛する人が多いので、メジャーリーグの試合を現地で開けば、多くの人が見に来てくれるのです。
経済的な理由
もちろん、海外で試合を開くことには経済的な理由もあります。
例えば、韓国で2024年に開催された開幕戦では、チケットが最高7万円ほどもする高額なものでしたが、発売からわずか8分で売り切れました。
日本の東京ドームでは約4万3500人が入れる大きな会場で、2試合とも満員になるため、収益面でもとても効果的です。
また、試合の放映権や記念グッズの販売なども含めると、かなりの収入が期待できます。
さらに、韓国では近年、動画配信サービスが発展し、野球コンテンツにお金を出す企業が増えてきたことも、メジャーリーグが韓国で開幕戦を行った大きな理由の一つです。
日本と韓国での開幕戦のこれまでとその意味
メジャーリーグが日本と韓国で開催してきた開幕戦には、それぞれ特別な歴史と意味があります。
長い野球の歴史を持つ両国での試合は、単なるスポーツイベント以上の価値を持っています。
特に日本では20年以上前から開幕戦が行われてきた実績があります。
日本で行われた過去の試合
日本でのメジャーリーグ開幕戦は2000年に初めて開催されました。
この歴史的な試合では、ニューヨーク・メッツとシカゴ・カブスが東京ドームで対戦し、北米以外で初めてのメジャーリーグの公式戦となりました。
その後、日本では2004年、2008年、2012年、2019年と計5回の開幕戦が行われてきました。
特に2019年の試合はイチロー選手の現役最後の舞台となり、日本のファンにとって忘れられない瞬間となりました。
そして2025年には、ロサンゼルス・ドジャースとシカゴ・カブスによる「東京シリーズ」として6回目の開幕戦が予定されています。
韓国で初めて開かれた背景
韓国では2024年3月に初めてメジャーリーグの開幕戦が開催されました。
ソウルの高尺（ゴチョク）スカイドームでドジャースとパドレスが対戦した「MLBソウルシリーズ」は、韓国初の公式戦として大きな注目を集めました。
この開催が実現した背景には、韓国での動画配信サービスの発展があります。
ユーザー数の増加により、企業が「MLBなどのスポーツコンテンツにお金をかける価値がある」と判断し始め、韓国側にスポンサーができたことが大きな要因でした。
また、大谷翔平選手のドジャース入団というタイミングも重なり、アジアでのメジャーリーグ人気が高まっていたことも影響しています。
現地の人たちにとっての楽しみ
日本と韓国の野球ファンにとって、自国でメジャーリーグの試合を見られることは特別な体験です。
通常、メジャーリーグの試合を生で見るためには、はるばるアメリカに行かなければなりません。
しかし、開幕戦が自国で開催されることで、多くのファンが世界最高レベルの野球を間近で観戦する機会を得られます。
韓国での開幕戦では、チケットが最高70万ウォン（約7万7000円）という高額にもかかわらず、発売からわずか8分でソールドアウトになりました。
このことからも、現地ファンがどれだけこの試合を楽しみにしていたかがわかります。
また、自国出身の選手が活躍する姿を直接応援できることも、大きな魅力となっています。
海外で試合を開くといいことがたくさんある
メジャーリーグが海外で試合を開催することは、さまざまな良い効果を生み出しています。
これは単に一過性のイベントではなく、野球界全体や現地の文化にも良い影響を与えています。
長い目で見ると、世界中の野球ファンを増やし、このスポーツをさらに発展させる重要な取り組みなのです。
メジャーリーグ側の得られる良い効果
メジャーリーグにとって、海外での試合開催は新しいファン層を開拓する絶好の機会です。
テレビやインターネットで試合を見るのと、実際に球場で観戦するのでは、感動の大きさが全く違います。
一度生で試合を見た人は、より熱心なファンになる可能性が高いのです。
また、海外市場での放映権やグッズ販売などによる収入増加も、メジャーリーグにとって大きなメリットとなります。
さらに、世界各国のメディアに取り上げられることで、メジャーリーグの国際的な知名度と価値も高まっていきます。
現地の野球への良い影響
海外でメジャーリーグの試合が開催されると、その国の野球人気にも良い影響があります。
子どもたちが世界最高レベルの選手たちのプレーを間近で見ることで、新しい夢や目標を持つきっかけになるのです。
また、現地の野球選手やコーチにとっても、メジャーリーガーのプレーや練習方法を直接観察できる貴重な機会となります。
こうした経験は、その国の野球レベルを向上させることにもつながっていきます。
実際に日本や韓国からメジャーリーグに挑戦する選手が増えたことも、こうした国際交流の成果と言えるでしょう。
世界の野球ファンが増える効果
メジャーリーグの海外試合は、世界中で野球というスポーツの普及を促進しています。
野球がまだあまり馴染みのない国でも、メジャーリーグの試合をきっかけに関心を持つ人が増えるかもしれません。
また、インターネットやSNSの発達により、海外での試合の様子は世界中に即座に広まります。
このことが、地球規模で野球ファンのコミュニティを広げることにつながっているのです。
世界の野球人口は約3500万人と言われていますが、メジャーリーグの積極的な国際展開により、この数字はさらに増加していく可能性があります。
これからメジャーリーグはどんな国でも試合をするの？
メジャーリーグの国際展開は、今後もさらに広がっていく見通しです。
日本や韓国での成功を踏まえて、メジャーリーグは世界各地での試合開催を計画しています。
ただし、すべての国で試合が行われるわけではなく、野球の人気や市場規模などを考慮して慎重に選ばれています。
次はどこの国で試合が行われる？
2025年はすでに日本の東京でドジャースとカブスによる開幕戦が予定されています。
これは2024年の韓国・ソウルでの開幕戦に続き、2年連続で米国本土外での開幕となります。
また、ヨーロッパでは2026年にロンドンで公式戦が、2025年にはパリでも試合が計画されています。
メキシコやプエルトリコなど、野球人気の高いラテンアメリカ地域でも継続的に試合が行われる予定です。
こうした計画は、2023年から2026年にかけての労使協定に基づいており、この期間中にアジア、メキシコ、ラテンアメリカ、ヨーロッパで最大24の公式戦と16のエキシビションゲームが予定されています。
もっと多くの国で野球を広める取り組み
メジャーリーグは公式戦だけでなく、「MLBワールドツアー」として世界各地でのイベントも計画しています。
これは選手たちを世界中のファンに紹介し、野球の魅力を伝える取り組みです。
また、2006年から始まったワールド・ベースボール・クラシック（WBC）も、メジャーリーグの国際戦略の重要な柱となっています。
WBCは世界各国の代表チームが参加する国際大会で、野球の世界的な普及に大きく貢献しています。
特に日本や韓国などでWBCが盛り上がることは、メジャーリーグにとっても大きな利益につながっています。
オリンピックとのつながり
2028年にロサンゼルスで開催されるオリンピックでは、メジャーリーガーの参加可能性が高まっています。
これまでメジャーリーグはオリンピック参加に消極的でしたが、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは「可能性はある。ロサンゼルスで行われることで特別な五輪になる」と前向きな姿勢を示しています。
もしメジャーリーガーがオリンピックに参加すれば、野球の国際的な注目度はさらに高まるでしょう。
オリンピックという世界最大のスポーツの祭典で野球が盛り上がることは、このスポーツの世界的な普及にとって大きなチャンスとなります。
これからのメジャーリーグの国際展開には、こうしたオリンピックとの連携も重要な要素となっていくと考えられます。
まとめ
メジャーリーグが日本や韓国で開幕戦を開催する理由と意義について見てきました。
- メジャーリーグが海外で開幕戦を行う主な理由は、世界中にファンを増やしたいことと収益を拡大するためです。
- 日本では2000年から計5回の開幕戦が行われ、2025年には6回目が予定されています。韓国では2024年に初開催され、大きな成功を収めました。
- 海外開催は、メジャーリーグのブランド価値向上、現地の野球文化発展、世界的な野球ファン増加など、多くの良い効果をもたらしています。
- 今後もメジャーリーグの国際展開は続き、ヨーロッパやラテンアメリカなど世界各地での試合開催が計画されています。
メジャーリーグの国際展開は、単なるビジネス戦略ではなく、野球という素晴らしいスポーツを世界中に広めるという大きな目標の一部なのです。
